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『ドラえもん 新・のび太の大魔境』の感想(一)

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昨日、昨年の映画『ドラえもん 新・のび太の大魔境』を観る機会に恵まれました。映画全体の感想については、これまた別に書く機会をいただいたのですが、ここでは、自分が特に気になった点について、感想と若干の考察をアップしたいと思います。

(分量が多くなりそうなので、2回くらいに分けてアップする予定)

 

 

1 総評

まず、この映画を観た全体の感想を一言。

 

「この映画を作ってくれてありがとう」

 

この一言に尽きます。「これでどうだ」という、気迫さえ感じる映画でした。

 

そもそも、現声優陣になって最初の映画『のび太の恐竜2006』は、26年前の漫画『のび太の恐竜』を、技術の進歩と展開の再構成によって、現代に通じる映画として描いてみせるというものでした。この『新・のび太の大魔境』は、現体制になって8年を経て、2006年にやってみせたことを、更に高いレベルでやってみせる、という映画だったのではないでしょうか。

 

2 原作の再構成

ただ、ここで注意したいのは、『恐竜2006』にせよ『新・大魔境』にせよ、かなりの「再構成」を行っている、つまり「変えるべきは変えている」ということです*1

 

この変えるべきは変える、という点が、自分の感じたこの映画の大きな魅力の一つでした。ここについて、少しみていきます。

 

2.1 バウワンコ王国パートの掘り下げ

『大魔境』は原作から一貫して、前半のアフリカ探検と、後半のバウワンコ王国内でのいわば「市街戦」という、2パートから成る物語といえます*2。前後半がそれぞれに魅力をもつと共に、前半は後半への伏線としても機能しているわけですが、今回の映画化では、後半により力点が置かれていたように感じました。

 

誤解を恐れずあえて言えば、『大魔境』の前半は、クライマックスへの伏線としては、かなり「重すぎる」のだと思います。もちろん冒険パートは面白いし、そこでのび太達がひみつ道具を失うなどして疲弊し、苦労してたどりつくからこそたどりついた先での戦いも盛り上がるのですが、この「バウワンコ王国に辿り着く苦労」は、辿り着いた先の「バウワンコ王国での戦い」には特に反映されません。

この「二重構造」の影響は、ゲストキャラにも及びます。『大魔境』は、歴代大長編・映画の中でも比較的ゲストキャラが多い部類と言えますが*3、そのキャラクターの大半が漫画で言えば後半になってからしか登場しない、という特徴があります。その結果、スピアナ姫やサベール隊長は、あまり多くを語られないキャラとして「温存」されていました。

 

この映画では、物語の描き方として後半の王国での戦いにより重きを置き、そしてそこを盛り上げるためにバウワンコ王国のゲストキャラ達について、より深い描き方がされていた、という印象を受けました。そしてその掘り下げは、のび太たちメインキャラクターにも反射して、ただ「もう一度映画化した」で終わらない、「もう一度作りなおす」というリメイクに貢献していました。

 

(続く)

*1:たとえば『恐竜2006』の見せ場であるティラノサウルスとスピノサウルスの戦いは、原作にも旧作にもない。

*2:そういう意味で『大魔境』は、『宇宙小戦争』や『ブリキの迷宮』に近い展開ともいえる。

*3:メインキャラのペコに加え、味方にブルスス、チッポ、スピアナ姫、敵役にダブランダー、コス博士、サベール隊長がいる。この点、メインのエルの他には自動報復装置ポセイドンしかいない『海底鬼岩城』などとは対照的である。また、例えば一見多く思われる『宇宙小戦争』でも、パピの他にはロコロコ、ゲンブ、適役にギルモアとドラコルルしか名前は挙げられていない。

7月10日ドラえもん感想~これだけは語りたい「スイカ割りにスイカペン」~

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さかのぼっての更新になりますが、10日のドラえもんについて、どうしても書きたいことがあったので、感想を更新させてください。

この週、多くの方は3話めの「タマシイムマシン」に描かれた、のび太とママの親子愛に胸を打たれたことでしょう。

 

が、あえて言いたい。

この回、見るべきは「スイカ割りにスイカペン」だと。

 

「スイカ割りにスイカペン」

おそらくアニメオリジナル*1

まずは流れを追ってみましょう。

 

1流れ

1.1のび太の狂気とドラえもんへの伝染

まず、冒頭から悲しげなBGMに乗せて、幼少期の「スイカ割りでジャイアンが割ってしまい自分は割れなかった想い出」を語るのび太「ぼくの番は、回ってこなかった……」という声の悲壮さと、ジャイアンがスイカを割る瞬間を、スネ夫としずかちゃんが大喜びする中、1人だけ絶望に表情をひきつらせながら見つめるのび太が泣けるとか笑えるを通りこして、狂気を感じさせます。

 

そこでドラえもんが「丸いものに模様を書くとスイカになるペン」を出すのですが、ここから徐々にのび太の気迫に呑み込まれていくドラえもん、着実にのび太のマッドさが伝染していきます。

さっそくペンをつくってスイカを作りのび太は人生初のスイカ割りをするのですが、なんとここでドラえもんが用意したのはビー玉のび太が振り下ろしたバットに、ビー玉(サイズのスイカ)は、スイカ"割り"というよりかは粉々に粉砕

完全にスイカ割りを理解していないとしか思えないドラえもんの仕打ちに膝から崩れ落ちるのび太のび太ですが、それを見て「やったね、のび太くん!」と飛び跳ねて喜ぶドラえもんも完全にキてます

 

こうしてのび太のスイカ割りへの執着は、着実にドラえもんを狂わせ、中盤へ突入。

 

1.2スイカ割りのためには手段を選ばないのび太

こうして丸いものを探すのび太ドラえもんですが、なかなかそう都合よく丸いものは見つかりません。「百円ショップで安いボールでも買えば」という視聴者のツッコミをよそに、ついにのび太がその本領を発揮。

 

ドラえもんの頭を両手でかかえ一言、「このくらいの大きさだったらちょうどいいのに」。

そう、この男、鉄人兵団の尖兵を撃つことさえためらった心の持ち主でありながら*2スイカ割りのために親友の頭部を粉砕しようとしているのです。

 

大長編でさえみせない、いや、短編だからこそ発揮される狂気をにじませながら、物語は中盤へ。

 

1.3介入するジャイアンスネ夫、そして結末へ

都合よくしずかちゃんから大量の風船を手に入れたのび太ドラえもん、ついに空き地でスイカ割りへ。

 

しかし、そうは問屋がおろさない。

そこに訪れたジャイアンスネ夫、その他名も無き多数の脇役たちが、スイカ割り大会をはじめます。冷静に考えれば「空き地に他人がスイカを置いていたからそれを割ろう」という発想も正常とは思えないのですが、もはや作品世界全体を支配した狂気は視聴者が疑問を差し挟む余地を残しません。

絶望に青ざめるのび太を前に次々と割られていくスイカ。子どもが楽しそうにスイカ割りをするのを、地面をはって何とか止めようとするのび太と、それを笑顔で見つめるしずかちゃん(しずかちゃんもこの狂気から無縁では決して無い)。

ついに割られつくしたスイカを前に、のび太メガネを爛々と光らせ、震える手にバットを握りながら、かすれる声で「スイカ、スイカ……」とつぶやき続けるばかり

 

他人のスイカを無断で粉砕して完食しておきながら平然としているジャイアンに猛抗議するのび太を見て、ドラえもん最高のトリックスタースネ夫がついに動きます。

もちろん、砂浜で眠っていたドラえもんのスイカ化

親友の頭部を粉砕しようとしたのび太もそうですが、友人にそうと知らせず親友の頭部を粉砕させようとするスネ夫。流石はいとこの同級生を魚雷攻撃で爆殺しようとした男の親族です*3

 

そして幸せそうにねむるドラえもん幸せそうに眠っている時点で、のび太にスイカ割りをさせる気があったとは到底思えんません)に迫り来るのび太。そして脳天に一撃が振り下ろされようとしたその時、ついにドラえもんが両手でバットを受け止め、なんとか事無きを得るのでした。

そして帰り道、ドラえもんを粉砕しようとしていたことなどまるで気にする様子なく落ち込むのび太の前にスイカをもったパパが現れて最後はスイカ割りをして終わるのですが、その辺は割愛。

 

2考察

以上が「スイカ割りにスイカペン」の概要でした。こうして見ると、このストーリーが

①くだらないことで絶望的に落ち込み、それを渇望するのび太

②その願いを、ずれた方向に叶えようとするドラえもん

③願いかなわず凶暴化していくのび太

④周囲の加担によるエスカレート

という、見事な加速ぶりをみせていることがわかります。

 

それぞれの要素を分解してみましょう。

 

まず前半、①くだらないことで絶望的に落ち込み、それを渇望するのび太にと、それを②明らかにずれた方向に叶えようとするドラえもんです。

このパターンは、マッド系短編の黄金パターンと言っていいでしょう。ヒーローになりたいというのび太にフクロマンスーツを出すドラえもん*4、よかん虫をのび太の頭にのせて煽り立てるドラえもん*5のような、のび太の夢を叶えつつも何かを引き起こさずにはいない可能性を見せてくれます。

 

そして、ひみつ道具を得て、狂気を見せるのび太

スイカ割りのためならば、ドラえもんの頭部を粉砕することもいとわないという姿勢にいはあの一話を思い出さずにはいられません。「分解ドライバー」です*6

知る人ぞ知る「なんでもいいからバラバラにしたいぞ」と笑顔で言ったのび太の精神、その片鱗を感じさせずにはいられません。

 

そして最後、それをしっかりアシストする周囲にも注目です。直ちに比較対象を出せないのは情けないところですが、ひみつ道具の仕組みを知った非のび太によるエスカレートもまた、ドラえもんの定番といえましょう。

 

3まとめ

以上、このたった10分にも満たない短編には、ドラえもん短編の若干危険な魅力がつまっていました。古いファンにとってのアニメ観賞は、ともすると「原作がどうアニメ化されたかを確認する作業」になりがちですが、今回は古いファンにとっても新しい、そして懐かしい感動(?)を味わわせてくれる放送だったと言えるでしょう。

 

今後もこのような、あるいは「水田時代の分かいドライバー」と呼ばれるような名作が登場することを祈って、このへんで。

*1:「ドラララ」は2作目にオリジナルを入れる方針のよう

*2:のび太は司令部に鏡面世界の秘密を知らせようとしていたリルルと対峙し、いつでも撃てる状況にありながら、ついにリルルを撃てず逆にリルルに「いくじなし」となじられながら電気ショックで制圧されてしまう。大長編ドラえもん (Vol.7) のび太と鉄人兵団 (てんとう虫コミックス)参照。

*3:スネ吉は、のび太ドラえもんが乗っ取り公園の池を航行していた戦艦大和のプラモデルを、2人が乗っていると知りながら魚雷発射装置付きゼロ戦ラジコンで雷撃、これを撃沈している。ドラえもん(14) (てんとう虫コミックス)参照

*4:ドラえもん (34) (てんとう虫コミックス)参照

*5:ドラえもん(12) (てんとう虫コミックス)参照

*6:単行本未収録だったため入手困難だったが、現在ではドラえもん 18 (藤子・F・不二雄大全集)に収録されている。

7月24日ドラえもんの感想

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先週のと今日の分をまとめて更新しようと目論でいたのですが、今日の分は録画を忘れてあえなく断念。というわけで、先週のドラえもん「夏祭りだよ!ドラえもん1時間スペシャル」の感想を。

 

「ムードもりあげ楽団」

ほぼ同名の原作*1のアニメ化でした。調べてみたところ、ムードもりあげ楽団は14巻の表紙も飾っていたことに気づきました。

 

「つまらなさそうな顔は生まれつき」と言いつつ、最近ののび太は(他のキャラクターも含め)けっこうハイテンションだと思うのですが、それに合わせてかムードもりあげ楽団の盛り上げ方も気合が入っていたように思います。

それと、最近の更新でも何度か「最近、出木杉の扱いがひどい」というようなことを書いてきましたが、しずかちゃんの家に出木杉がいただけで「生きる希望を失」うのび太のテンションが光っていました。ムードもりあげ楽団よりも、楽団にもりあげる素材を供給できるのび太がすごいのかも。

 

「楽々バーべキューセットはラクじゃない」

テレビ朝日summer station*2宣伝のためのタイアップ企画。サバンナ高橋さん考案のひみつ道具が、本人の演技で登場。

Wのエンディングを経験した世代として、ドラえもんのタイアップというものには一種の拒否反応がないと言えば嘘になりますが*3、今回のはお話も「特別企画」的にコンパクトにまとまっていて、好印象でした。

声優にチャレンジ、というのはタイアップでもありがちですが、ひみつ道具役ということで印象に残るものの台詞も多すぎず、全体の雰囲気を壊すことなく、一方で存在感もあったように思います。

 

「南海の大冒険~キャプテン・シルバーの財宝~」

原案は『ドラえもんのび太の南海大冒険』の原作にもなった「南海の大冒険」*4でしょう。原作では、のび太ドラえもん・しずかちゃんと、ジャイアンスネ夫が張り合う展開でしたが、今回はその要素を残しつつも、のび太たち5人と、オリジナルキャラのキャプテン・シルバーとの掛け合いがメインでした。

 

このキャプテンシルバー、実によき三下悪役で、のび太たちを利用するはずがことごとく自分が痛い目にあい、そのせいでのび太たちも返って本性に気づかない、という展開。一方で、ドラえもんがとばっちり役を引き受けて笑いを取る中、のび太がけっこういいところを見せてくれました(ムードもりあげ楽団の効果が残っていた?)。

 

この前の「ダンボール宇宙ステーション」同様、このくらいのスケールのお話というのは、映画でも原作でもなかなかないので、時々アニメで見せてほしいなと、個人的には思っています。

 

 

昔はストーリーのストックも多く、夏ともなれば2時間スペシャルがくまれた時期もあったので若干さびしい感じもしましたが、久々の「ドラスペ」を楽しめた先週でした。

ではまた。

*1:ドラえもん (14) (てんとう虫コミックス)収録。

*2:テレビ朝日・六本木ヒルズ 夏祭り SUMMER STATION|テレビ朝日

*3:大山版の最後期には、エンディング曲でタイアップが頻繁に行われ、特に最後のエンディングとなったWの「あぁ いいな!」はすこぶる不評だった。これについて、どこかの新聞に投書が載ったというような記憶があるのだが、定かではない。出典を確認できたら報告したい。

*4:ドラえもん(45) (てんとう虫コミックス)収録。

6月19日ドラえもん感想

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(追記)

テロップには気づきませんでしたが、2005年の声優交代までジャイアンを演じておられた、たてかべ和也さんが亡くなられたとのことでした。たてかべジャイアンを見て育った1人のファンとして、心よりご冥福をお祈り申し上げます。

 

最後に更新したのがいつか分からないくらい、感想の更新が止んでしまいました。というわけで、「録画して、後でゆっくり更新」という考えを改め「金曜7時はちゃんと帰り、リアルタイムで見ながら更新する」という、半実況スタイルにしてみました。

3話放送にもだいぶ慣れてきましたが、今日の中でいうとやはり「かげがり」が光っていたように思います。3話構成となると、最後の1つには気合が入ってるのかも?

 

「ボクを写して!めんくいカメラ」

めんくいカメラのリアクションが薄かったのが、少し残念なような。それに比べて、ドラえもんたちのリアクションは濃くて、面白かったです。お化粧に念を入れるドラえもんに冷静なツッコミを入れるママとの温度差も笑

1話めから立て板に水と正論を並べた挙句、スネ夫に変顔をさせられ、それでも写真には写って写り込んだスネ夫がノッペラボウになっていたのに気を使いながら去っていくという出来杉君の立ち回りが光ってました。最近、出来杉君のリアクションが伸びている気がします笑

 

「しりとりでネッシーに」

1話めに続き、とりよせバッグで取り寄せられてそのまま戻されるという、史上稀に見るひどい扱いをされる出木杉くんが光ってました笑 *1

ネッシーがどう」という話はそうそうに放棄されて、お祭り騒ぎ的な話でした。「ドラララ」になってから*2こういう話が1つは挟まれている気がしますが、これはこれで楽しいな、と思います。今回だと、「ジャイアンスネ夫ドラえもんのしずかちゃん」といった、ビジュアル的な面白みもありましたし。

 

「かげがり」

原作は1巻の「かげがり」*3。はじめて読んだ時に、軽くトラウマになった記憶が。

やっぱり「影を使っていたら、その影が次第に自我に目覚め、本人と入れ替わろうとする」というモチーフが怖いです。今日のアニメでは、影が「お前、話しはできないのか」と受話器をひったくられた後、自分の手を見つめる仕草をしたり、その後で楽しそうに話すのび太をニュっとした動き*4で見つめたり、最初は「影」だった「それ」が、次第にのび太になろうとする演出が凝っていたように思います。

一方でこれも「ドラえもん」短編の魅力だと思うのですが、影が動いているという異常事態に対して「日焼け」の一言で済ます周囲のマッドさ加減もいい味を出していました。

 

 

 

*1:原作にも大山ドラにもなかったわさドラの魅力として、「ギャグ要員としての出来杉君の活躍」を挙げていいのかもしれない。

*2:「ドラララ」が成田良悟の『デュラララ』にしか聞こえないのは私だけでしょうか。ちなみに、調べてみたらこんなMADが。【MAD】帰ってきたドラララ!!【デュラララ!!OPパロ】 ‐ ニコニコ動画:GINZA

*3:ドラえもん (1) (てんとう虫コミックス)

*4:今日の放送を見た人ならお分かりの通り、これが単に黒く塗りつぶしたのび太がそうしているというのではなく、明らかに「人間ではない何か」の動きをしている。

5月8日ドラえもん感想

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日付を超えて水曜日の更新であります。

先週の金曜日になって先週の更新をするよりかはだいぶと進歩(?)したような。

 

先週は「大空中戦」が熱い回でした。というわけで非常に熱かった先週のドラえもん、感想いってみましょう。

 

『ぼくらの大空中戦』

きました。ミリタリー系*1です。「ラジコン大海戦」に代表されるミリタリー系です。

しかも。原作から比べてもかなり熱い展開にアレンジされていました。

 

今回の熱さ、それはタイトルの示す通り空中戦でしょう。

そもそもが「模型サイズの飛行機に乗ってみんなで*2遊ぶはずが、ジャイアンが一機を乗っ取って襲い掛かってくる」という熱い筋書きの原作です。

が、原作では肝心の「空中戦」はというと、のび太ドラえもんが応戦したのみで、スネ夫やしずかちゃんは瞬く間に撃墜されていました。

 

ところが、今回はドラえもんとしずかちゃんが魅せてくれました。

「急上昇でジャイアンを誘い込み、太陽を背に急降下して背後をとるドラえもん

「ミサイルを急旋回で回避するしずかちゃん」

「熱誘導ミサイルを、石焼き芋の販売者に誤誘導させるしずかちゃん」

などなど、大長編で鍛えた(?)歴戦の勇姿ぶりを遺憾なく発揮してくれました*3

 

飛行機の描写や、ミサイル視点という画があったりと、ミリタリーものとして見事な熱い回でした。時々はこういう「燃える短編」を見たいな、と思います。

 

『ニクメナイン』

こちらはうってかわって、純粋なコメディ路線。

 

冒頭から、ジャイアンに穏やかな満面の笑みをうかべてのしかかろうとするのび太、それを冷静に「ふざけんな!」と迎撃するジャイアンの対比が笑えました。賛否の分かれるところだと思いますが、最近のドラえもんたちは「リアクション芸」が面白いなと思います。

ドラえもんドラえもんで、ひっぱられたりネズミのびっくり箱を見せられたり。ママも「鬼婆」への反応からのカームダウンが見事でした笑

 

やっぱりこの話の魅力的なところは「満面の笑みでジャイアンを蹴飛ばすのび太」でしょうか。個人的には、現場に居合わせたしずかちゃんたちには、もっと怯えきってほしかったです笑

特に「バラバラにされるぞ~」と言いながらこれから予想される惨劇に顔を伏せるスネ夫が描かれなかったのは少し残念でした。

 

 

ではまた。

*1:軍事や兵器をモチーフにとったドラえもんの話の類型。筆者命名。代表例に「ラジコン大海戦」

*2:この「みんな」にドラえもんも含まれている点が重要。こういう時に「保護者にとどまる」という無粋なことをしないのも、ドラえもんというキャラクターの魅力だと思う。

*3:一例として『宇宙小戦争』においてドラえもんは「自由落下することで隕石にまぎれPCIAの防空警戒網を突破する、しずかちゃんは無人戦闘艇を多数撃破という空戦技術を発揮している。実は2人とも空中戦の適性がある、のかもしれない。

5月1日ドラえもん感想

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今週もぎりぎりの更新になってしまいましたが、先週はなかなか印象に残る回でした。ということで感想を。

 

ジャイアンが飛んできた」

おそらくアニメオリジナルのお話だと思います。

のっけから、パパとパパの上司+名も無き取引先2名のリアクションが光っていました。送り届けられた書類に歓喜したパパに困惑する3名、からさらに飛来した下着にうもれてるパパに困惑する3名という流れはよかったと思います。

その後は、スネ夫ジャイアンを煙にまく道具の使い方を思いつき、ジャイアン以外が共謀するという展開。はじめはジャイアン・リサイタルのチケットを押し付けあっていたのが最後はジャイアン自身を押し付け合うという展開は面白かったのですが、オチはもう一捻り(スネ夫のび太辺りが、ジャイアンにからくりを知られてひどいめにあう、など)ほしかったような気もしました。

 

「わすれろ草」

わすれろ草で何をしていたのか忘れたジャイアンが「なぐるんだよ」「誰を?」「スネ夫を」は名シーンだと思いますが、その後のスネ夫のび太をなぐるんだよ!!」ジャイアン「のびたって誰」のび太「ん(スネ夫を指差す)」はオリジナル展開でしょうか。その後の「骨川です~」も相まって笑えました。

最後のオチも*1、最近の水田版ならではの劇的な描かれ方で、良かったです。

 

というわけで、先週のドラえもんの感想でした。今週こそは今日中に更新したいところです。

*1:詳細をここで述べることはさし控えたいので、原作等を参照のこと。なお、同作は9巻の表紙にもなっているよう。ドラえもん (9) (てんとう虫コミックス)

4月24日ドラえもん感想

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投票などに悩殺され、先週の感想をアップしないまま一週間が経過してしまいました。面目ない。ただ、流石に前々回の感想をアップするのもなんなので、一週飛んで直近の放送の感想をアップしたいと思います。

 

「イルカにのって海の旅」

スネ夫に対抗してドラえもんが道具を、というのは定番パターンですが、やっぱりこのお話の魅力は、

スネ夫以外のドラ・のび・しず・ジャイの4人がみんなノリノリで楽しそう

・イルカの想いに気づき、それを叶えようとするといういい意味でのメルヘンさ

の二点でしょう。個人的には、イルカと旅をするというメルヘンなモチーフなのにもかかわらず、道具が「甲板」と渋い名前で、かつ実際に現実の舟らしい描写なのも好きです。

今回のアニメ化だと、イルカの声に気づくのがのび太である、という点が強調されていたのが、けっこう好印象でした。のび太だから気づくという、彼らしさが表れていた気がします*1

オチは、昔アニメ化されていた時の「乗ったことならあるけどな」と得意気に言うジャイアンも好きでしたが、いたずらっぽい顔をしながらスネ夫に背を向けて立ち去る4人も、なかなかコミカルで楽しいオチでした。

 

「いたわりロボット」

うってかわって、マッドな話の代表格でした。

要はいたわってくれる(可愛いい女の子の姿をした)ロボットを出してもらったらのび太が甘えてダメになる。たったそれだけの話なのですが、このロボットの「いたわり方」がすごい。そしてそれを軽妙にアシストするドラえもんのび太のママもいい仕事をしています。

ただ、今回のアニメ化では、個人的感想を言わせてもらうと、少し不完全燃焼だった気がします。最初、のび太に完全無関心のままストレッチをして、伝説の「下には下が」発言を繰り出し、いたわりロボットの初仕事を見守るドラえもんまでは良かったのですが、少しいたわりロボットが失速していた気がします。

たとえばその初仕事。わりと筋を立てて*2話していましたが、個人的にはもっと印象的なフレーズで畳み掛けるような迫力がほしかった気がしました*3

ただ、個人的にはロボットに依存していくのび太の狂気が強調されていたのは好きでした。あとは、さりげなく未来図が「翌朝の遅刻」「高校不合格」「しずかちゃんに捨てられる(!!)」とより綿密になっていたのもポイント高かったです。

 

というわけで感動→マッドという某ドラえもんの5時間後に放送されるナイトスクープみたいな構成でした。

ではまた。

*1:木の精と友達に(恋人に?)なるったりと、のび太の特徴の一つには「人ではない自然と想いを通わせることができる」ということが挙げられると思われる。ドラえもん (26) (てんとう虫コミックス)参照。

*2:もちろん、無茶苦茶な筋であるが。

*3:対比で言うなら、「無茶苦茶な筋」さえない「支離滅裂」とでも言うか。